
2階建てバスが一時期減っていたことをご存じでしょうか。
メーカーの生産中止で台数が減っていましたが、また導入する方向で話が進んでいます。
細かく見ていきましょう。
2階建てバスが減っていた理由・再び導入する理由
2階建てバスは、夜行バスや観光バスなどで導入されてきました。
しかし、近年日本のメーカーは生産を取りやめていたため、しだいに台数は減っていました。
ところが、近年再び2階建てバスを導入する動きが出ています。
その理由は、バリアフリーや輸送力の拡大があります。
岩手県北バスでは、7月31日付けで、盛岡から宮古の間で2階建てバスを取り入れることを決定しています。
これまで同社が活用していたバスに比べて席数が10席以上増加し、さらに2階席には広めの席を用意することで、景色を楽しめる作りにしたのです。
実は、地方では赤字路線が拡大しているのですが、盛岡から宮古の間の路線では年間30万人もの利用者を誇り、本数は1日18往復と多めです。
同社としてはドル箱路線で、ここで稼いでおきたいところなのです。そこで、同路線を利用する観光客の満足度を高めるサービスを導入することで、より利用者を増やそうという狙いがあります。
2階建てバスにより、人件費を増やさずに輸送力を強化することができるのも、2階建てバス導入の強みだとしています。
場所は変わりますが、関東でも再び2階建てバスの導入がなされています。
2階建てバスを導入したのは京成バスです。導入路線は、東京駅と成田空港の間を走る有楽町シャトルバスです。
2020年のオリンピックを見据え、輸送力の強化と、バリアフリーにより配慮したバスを目指した結果としています。
2階建てにすることで、車いすの方も乗り降りがスムーズにできるスペースが作れ、さらに車いすの方と介助者の方がともにゆとりをもって利用できるスペースができるのです。
ほかの利用者で、占有スペースが広がるメリットがあるのです。もちろん、席数は1階建てのバスの時よりも増えます。
これだけ書くと、2階建てバスはいかに素晴らしいか、と思いたくなりますが、一時期は生産中止だったわけです。
では、生産中止になったのはなぜなのでしょうか。
生産が中止されたのは、収益路線の数を増やしたいバス会社の都合と、メーカー側の都合があります。国内メーカーはそれぞれの都合で2階建てバスの生産を打ち切りました。
とはいえ、海外メーカーに依頼しようとしても、海外で生産される2階建てバスの場合、車幅などで日本の基準を満たさないなどの理由で受け入れが難しかったそうです。
そのため、車両を更新しようとしても2階建てバスを生産する委託先が見つからず、導入がストップしたというのが経緯のようです。
2階建てバス再開の動きが…
ですが、2016年、事態は変わります。スウェーデンの企業と、ベルギーの企業と協力して、はとバスが日本で走行可能な2階建てバスを開発したのです。
これにより、バス会社各社はこぞってこの新たな2階建てバスを依頼します。
そして、現在古くなった2階建てバスが新たな2階建てバスにより置き換えられています。
今後も置き換えの動きがあり、日本ではこれからさらに2階建てバス導入の動きが加速する模様です。
JRバス関東では、「ヨーロピアンスタイル2階建てバス」を導入しました。座席の足下にはUSBポートが備え付けられ、1階にはトイレもあります。長距離輸送にも対応した作りが自慢です。
そのほか、安全走行性の向上のため、車間距離保持機能付きオートクルーズ、車線逸脱警報装置、横滑り防止装置や衝突被害軽減ブレーキなどが搭載されています。
現在では、東京から浜松、静岡、名古屋を結ぶ路線のほか、東京駅や新宿駅から大阪やユニバーサルスタジオジャパンまでを結ぶ路線へ導入されています。
地上3メートルからの2階席の眺めがセールスポイントです。また、同バスはスカニア社製、を売りに、ヨーロッパで磨かれた乗り心地の良さをアピールしています。
2階建てバス「スカニア」の車椅子乗車
しっかり固定できるけど固定作業が結構難しい
女性のお客様だと失礼がないように気をつけないと脳性まひの方が乗るゆりかごタイプは垂直状態じゃないと難しいかも(走行中は倒しておけるけど休憩時は出入り口に干渉するな)
備忘録的にツイート
— かわすみさん (@kawasumi_3) July 10, 2019
ボディはベルギーのバンホール社製で、欧米の技術を駆使した乗り心地の良さと高級感のあるブランドを打ち出します。
シート空間は以前よりも50mm増えたと強調しています。燃費にも配慮され、エコなバスでもあることをPRしています。
ネットでの反応
ネット上では、2階建てバス復活の動きがあることを喜ぶ声が見られる一方で、この路線も、あの路線こそ…、という声が多数見られました。
2階建てバスに対する需要はそれなりに存在するようですね。
ただ、前述の通り国内での生産ルートが限られ、海外委託しようにもなかなか規格の違いから難航するケースが未だに実態としてあるようです。
バス会社が落ち着いて2階建てバス拡大に乗り出せるのは、少し先になるかもしれません。
日本のメーカーが生産をしてくれるとよいのですが、そこは大人の事情があるのでしょうか。
バリアフリーとの兼ね合いもあるので、バス会社的には2階建てバスは好ましいはずなのですが…。