
経済学が想定してこなかったデフレに先進国が苦しんでいる中で急速に注目を集めているのがモダンマネタリーセオリー「MMT」(現代貨幣理論)です。
新型コロナウイルスの影響でどこの国にも現金がない現状で注目度が高まっています。
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各国のデフレ対策失敗
デフレとは商品の価値が下がり、お金の価値が上がることです。
先進国では店は商品であふれ、少しでも安く売ろうとしています。
今、貧乏な人は商品がないのではなく、お金がないのです。
お金の価値が上がるからお金を貯めて、景気が悪くなり、企業はより安く商品を売ろうとして、物の価値が下がり、お金の価値がさらに上がるという循環が起こるわけですね。
これまでの経済学は、モノを効率的に生産して分配して社会を豊かにするためのものでしたが
モノが余って金が無いというデフレは想定されていませんでした。
これは、豊かになった先進国特有の問題で、対処法は確立されていません。
先進国が現在行っている金融緩和はお金を大量に刷ってお金の価値を目減りさせるというものですが
効果はイマイチ。
日本ではアベノミクスがこれにあたります。
年2%のインフレを目指して8年間で500兆円近くを刷り異次元の金融緩和といわれましたが
2%インフレを実現したのは2014年のみで、平均0,5%にとどまっています。
日本同様にEU、アメリカも似たような金融政策を実施したもののインフレは起きずに停滞が続いています。
うまくいかない理由はお金の分配方法にあります。
日本は8年間で500兆円刷り、日銀→銀行→企業、個人と分配されますが
実際に世の中のお金は8年間で250兆円しか増えておらず、増加ペースに変化はありません。
日銀で大半が止まってしまっています。
結局、日銀がいくらお金を刷ろうが、住宅ローンを組んだり、企業が借り入れをする理由にはならないのですね。
国民が欲しているものは、持ち家でも起業でも商品でもなく現金だったということですね。
じゃあMMTって何なの?
従来の金融緩和政策とMMTは大量にお金を刷るという意味で同じですが分配方法が違います。
政府予算に直接ぶち込むため日銀→政府→個人となります。
政府の借金を日銀に押し付けるトンデモ理論だという批判も多いですが
実際にすでにこのトンデモ経済政策を実施している国があります。
日本です。
日本は年間100兆円の予算のうち、税収は50兆円で残り半分は赤字国債で日銀が補っていて
累積は900兆円にも及びます。
これが国の借金とかいわれていて、いずれ国家破産など大変なことになるといわれていましたが
結局のところ何も起きていません。
アメリカのMMT論者はこの日本を例に出して、中央銀行負担の財政赤字が問題ないことを主張しています。
問題ない理由は簡単で国民の借金じゃないからです。
政府が日銀から借金している状態は国民からすると
父親が母親からお金を借りているようなもので
正直どうでもいいんですね。
そこで、MMT論者はさらに赤字国債を増やして政府予算を増やすことを主張しています。
赤字国債で政府予算を増やせば、確実に世の中にお金が回るのでデフレ脱却ができるという理屈です。
極端な人は消費税を0%にすることを主張しています。
政府が目標とする年2%インフレのためには現在、世の中にあるお金1000兆円が2%増える必要があります。
つまり、20兆円お金を刷っても問題ないじゃん?となるんですね。
というわけで消費税の税収は現在18兆円なので消費税は必要がないとなります。
日本の名目GDPは言うても550兆円もあるので、そこに毎年15兆円ずつ増加させていっても、名目GDP比で言えば2~3%程度の増加ですから、そこまで大したインフレには成り得ないのです。実はこの制度設計でベーシックインカム的な給付金制度も、年金制度も構築出来てしまうことになります。 https://t.co/q7VfliUolp
— 池戸万作 (@mansaku_ikedo) June 27, 2019
この政策をすると
お金の価値が目減りするのでお金持ちが損をします。
逆に借金は目減りしますし、消費税負担が無くなりお金を持っていない人は得となります。
格差縮小政策としては、強烈なので若者を中心に支持者が増加中。
さらに極端な人は政府予算は通貨発行のみで行い、税金をなくすという人もいます。
これは、さすがに無理がある話な気がしますが
実際に予算の半分はこのやり方で何も日本は問題なかったので、あり得ない話でもないのかもしれません。
個人的にはお金の価値が下がり続けることが分かっていて、消費税が0%になると
今よりもお金を使うようになるでしょうね。
また、「国の借金が~」とかいいつつ実は国の財政に余裕があるのも事実だと思います。
ただし、少子化が長期的にこの国の最大の問題なので、少子化対策のために若者向けの予算を増やさなければなりません。
大人になると一人で合計で平均5000万円納税しますから、MMTで増やした予算を少子化対策に充てるなら合理的ですね。
新型コロナウイルスの影響で一時的に経済が滞っている時は政府がお金を配るのは、現代経済学では当たり前なことです。
ネットの声
ゼロ金利なのはインフレになってないからで、まだまだお金を刷れるってことじゃないですかね。
金利が上がらないのは単純な話「みんなが金を借りない」からじゃなかろか。
なにもかも満ち足りた社会で、「わかりやすい儲かる投資」が見つかりにくくなった。
ちょっと前まで金融緩和で物価は上がらないがハイパーインフレになると言ってたのに
非インフレ(ゼロ金利)は持たざる者を喜ばせながら搾取する金融政策。