IT大臣にハンコを守る会会長が就任する2つの理由。

内閣改造でIT担当大臣となった竹本直一氏は「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(はんこ議連)の会長。

印鑑とデジタル化について「共栄のため知恵をしぼる」と述べていますが、メディアでは、ITと逆行するハンコ議連会長が大臣に就任したことを、批判もしくは、バカにするような言動が目立ってます。

なぜ、このような人事となるのか理由を考えてみました。

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改革には反対派を抑え込むことが必要。

政治に関わらず、どの業界でも日本の組織は硬直的で変化を好まないので、改革を推し進めようとすると保守的なグループが出来て必ず反発します。

こういったときの知恵として反対派にいる人に仕事を任せるというやり方があります。

原発反対と政策論も持たずに口だけで言っていた小泉進次郎さんを環境大臣にするのと同じ方法で、「じゃあやってみろ」となると結論は、落ち着くところに落ち着きます。

労務管理業務に労働組合に所属している人を入れれば文句は言いにくくなるのと同じ構図ですね。

時間をかけて全体が議論して出した結論は、往々にして妥当なので、このような人事で反対派は大人しくなります。

IT化に関しても各自治体は、少子化で人手不足。

作業効率化のためにIT化を推進させないと、自治体が機能不全に陥るのは、ハンコ議連の会長でも分かるでしょう。

実際に、行政手続きを原則デジタル化する「デジタル手続法(デジタルファースト法)」がすでに成立していて、IT化に関してこれからの政治の仕事は、法律の変化にどう社会を適応させるかというソーシャルアダプテーションの領域。

行政のIT化によって仕事を失ったり、公共サービスの受け方が分からなくなる世代が生じることは容易に想像できますね。

IT担当大臣は、こういったITに対応できない人をどうサポートするかということも重要な仕事だったりします。

というわけで、日本の組織には反対派を改革の責任者に据えることで、批判が多い変化を丸く収めるというやり方があり、「IT担当大臣にハンコ議連の会長」というのは、メディア的な批判の話題としては面白いかもしれませんが、実際の社会においては、こういうやり方は、よくあります。

竹本直一氏は

「一方で印鑑という日本古来の文化があり、他方に、究極の目標であるデジタルガバメント、デジタルの社会がある。それを対立するものとして捉えるのではなく、《俯いて固まって》全体の流れの中で、どう調和していくかという視点で工夫はできると思っています」

とコメント。

また、マスコミはIT担当副大臣に自由民主党ネットメディア局長の平将明氏を起用していることには、目が行きません。

変化には痛みがつきもで、アクセルとブレーキのバランスが重要。

日本におけるハンコの価値を甘く見てはいけない

日本は第2次世界大戦でアメリカに負けて軍隊も持たずアメリカに安全保障を依存しているので、外交交渉にめっぽう弱いです。

GHQによる財閥解体、農地解放に始まり、1973年には大店法が制定され中小零細小売店が総倒れするなど、不本意な市場開放を強いられてきました。

もうこれ以上開放するところがないほど、自由な条件で貿易している日本ですが、内需が底堅く、アメリカに対しても常に貿易黒字。

理由は非関税障壁が日本は強いことにあります。

貿易条件は自由でも日本でビジネスを外資系企業がしようと思った時には、めんどくさい日本独自のローカルルールが存在。

英語を使える職員も少なく、書面には「甲は乙は」など日本人でも訳の分からない言葉が並び、ハンコを押さなければ契約が成立しない。

このような社会でビジネスを成立させるのは、当然日本人が有利。

結果的に日本では、日本企業が強いわけですね。

というわけで、アメリカの圧力による市場開放に対して、日本独自のシステムが地場産業を守ってきた側面があります。

しかし、こんなめんどくさいルールは日本人にとってもやはりめんどくさいので、人手不足の時代には不適格。

なので、外資系企業に対して優位に立つことが出来る非関税障壁とテクノロジーを利用した手続きの簡略化を両立する必要があるわけですね。

竹本直一大臣は

「例えば印章をデジタルで印字をしておいて、それを相手に送れば、印鑑を押したのと同じ効果をもつというようなことも一つの知恵として出てきている。印鑑を作る方にとってもまだ仕事がある。今だと、毎回ハンコを押して使わないといけないが、デジタルの社会になれば、こういうようなものも一つの考え方かなという議論も出ています」

とコメント。

ハンコとITの両立というパワーワードはマスコミの格好のネタになりました。

しかし、明らかに無駄なハンコのデジタル化のおかげで、日本の産業が守られるのであれば、それは無駄ではありません。

そして、新しいテクノロジーが素晴らしいかといえば、落とし穴のようなデメリットがあるもので、仮想通貨長者が暗証番号を忘れて、催眠術まで使っても本人証明ができずに資産を失うケースもあります。

ハンコにとくに思い入れはないですが、デジタル時代に手間をかけずに本人証明をすることは、難しいのでなんでもデジタル化で解決できると甘く見てはいけません。

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ネットの声

そもそも一部の業界から印鑑廃止論が出てるのって印鑑が不便だからじゃないからな
印鑑は一度相手に押させて印章を入手すれば簡単にコピー偽造できてセキュリティに問題があるから廃止しろって言われてんのに
印鑑の画像とかそれこそ一度相手に送らせたらいくらでも偽造し放題になるやろ

竹本直一は、ITだけでなく、クールジャパン、知的財産、科学技術、宇宙政策の担当国務大臣でもある。

ITとクールジャパンと知財と科学技術と宇宙政策の担当大臣が、老害ってのは、もはや悲劇を通り越して喜劇だな。

竹本IT担当相(78)が会長やってる議員連盟はあくまでも「議員連盟」で、本丸はおそらくこっちね→「全国印章政治連盟」

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