
2019年のM-1グランプリはミルクボーイが優勝。
ファーストステージでは『M-1』史上最高得点となる681点を記録。最終決戦でも勢いそのままに審査員7人中6人の支持を得て栄冠を手にしています。
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ミルクボーイのネタを分析してみた
2008年に優勝したNONSTYLEが披露したM-1決勝1回目のネタは4分に51回の笑いどころがあったのに対して、昨年の霜降り明星は43回、ミルクボーイのネタは28回と2組と比較すると少なめ。
これはNONSTYLE、霜降り明星が一度設定に入ると戻らない漫才コントと呼ばれるスタイルなのに対して、ミルクボーイのネタは王道のしゃべくり漫才であるからです。
フリ→ボケ→ツッコミという公式で笑いが生じるとすると漫才コントは設定自体がフリになるので、フリを省略できます。
NONSTYLE、霜降り明星ともにボケは動きで表すので、ツッコミを連打することで笑いの数を稼ぐことが出来ます。
ミルクボーイのネタはしゃべくり漫才でフリを省略できない構造ですが、コーンフレークという誰にでも頭に思い浮かぶ一つの物に対してネタを進めていくので、フリによる時間ロスを最小限に抑えることが出来ています。
また、ボケの数が8回と少なく、意外性のあるものは特にありません。
特徴的なのはツッコミの連打でミルクボーイのネタは笑いのほとんどがツッコミ内海崇さんから生まれています。(ボケは駒場孝さん)
ツッコミはほなコーンフレークと違うか!だけで成立していますが、その後にコーンフレークへの偏見をたたみかけています。
ミルクボーイのネタは実は偏見を笑いにしているのですが、視聴者が引くような過激なネタには一切見えません。
これがミルクボーイの勝因だと思います。
そこで、ミルクボーイの偏見を笑いにしたネタが万人受けする理由を考えてみました。
・偏見の対象がコーンフレークなので、特定の誰かを傷つけるような偏見ではない(実際コーンフレーク業者も宣伝になったと喜んでいた)
・おかんが好きと言っていたと最初に褒めている。
・ネタのシステムがシンプルで汎用性が高く、ツッコミは典型的な漫才師の口調なので、本気でけなしていないことが伝わる。
これらの3つの理由で、ミルクボーイのネタは誰も傷をつけない偏見で笑いが取れる仕組みとなっていると分析しました。
このネタのシステムは凄いです。
いくらでもネタを量産できるでしょうし、一生ネタで食べていくことが出来る発明だと思います。
ちなみにもう一組話題になったぺこぱというコンビはツッコミで相手を一切否定しないという、こちらも誰も傷つけないネタとして評判となり、ファミリー層に人気があったようです。
お笑いは、おそらく2極化しており、濃くてどぎついコアなお笑いファンが見るお笑いと、老若男女問わず愛されるポップカルチャーとしてのお笑いに分かれています。
スターになるにはどちらの層からも愛される必要があり、バナナマン、千鳥、サンドウィッチマンがその位置に近いと思いますが、とんでもなくレベルの高い競争ですね。
10代のときにファンだった松本人志さんには、点数をつけるだけのベテランタレントで終わって欲しくはないのですが・・・。

ネットの声
最中みると心の中で最中やないかい!って言ってしまう