
北方領土は、北海道本島の北東洋上に連なる歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島の島々ですが、現在はロシアが不法占領しています。
この北方領土問題は仲の良い安倍首相とプーチン大統領のトップ同士となったことで急速に解決に向かうと思われましたが、進展はぱったり無くなってしまいました。
北方領土問題は今後どうなってしまうのでしょうか?
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北方領土問題の現在までの経緯
北方領土問題の歴史的経緯については、諸説ありますので、政府見解を載せておきます。
内閣府のホームページにはこのように記載されています。
1945年(昭和20年)、日本が、ポツダム宣言を受諾し降伏する意図を明らかにしたあとになって、ソ連は、一度も外国の領土になったことのない我が国の固有の領土である北方四島に侵攻しました。その後、ソ連は一方的にソ連領に「編入」し、全ての日本人を強制退去させました。ソ連が崩壊してロシアとなった現在も、ロシアは北方四島を法的根拠なく占拠し続けています。
1945年8月9日、ソ連は、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して対日参戦しました。第二次世界大戦直後、日本がポツダム宣言を受諾した後の同年8月28日から9月5日の間に北方四島のすべてを占領しました。当時、四島にはソ連人は一人もおらず、日本人は四島全体で約1万7千人が住んでいましたが、ソ連は1946年に四島を一方的に自国領に「編入」し、1948年までにすべての日本人を強制退去させました。
※サンフランシスコ平和条約(1951年)で、日本は南樺太と、千島列島を放棄しましたが、この条約にいう「千島列島」には北方領土は含まれていません。ソ連はこの条約に署名せず、条約の当事国となっていません。
というわけで不法に占拠されたわけですね。
そこから、北方領土問題が動きかけたこともありました。
1956年の日ソ共同宣言では「四島の帰属を確認したうえで、平和条約締結。その際に歯舞と色丹は日本に返す」ということが載っていましたが、「二島を返して、平和条約を結びましょう」という条件に、日本側は合意していました。
しかし、アメリカが「残り二島を戻してもらわなくていいのか。それでいいのなら沖縄も返さないぞ」と横槍を入れたわけですね。米ソ冷戦当時はアメリカにとっては日本がロシアと仲良くされるのは何としても阻止したかったわけです。
しかし、現在のアメリカの仮想敵は中国でロシアとは雪解けしていますので、アメリカから横やりが入る可能性は低い。
ようやく日本とロシアが向き合って交渉できる体制が整ったわけですね。
それでも、ロシアのプーチン大統領は「交渉を急がず、日本側のペースでは進めない」とトーンダウン。
一方で観光とごみ処理の2分野で事業の実施で合意しており、北方四島での共同経済活動が進んでいます。
経済活動を進めたい理由は経済的側面が強そうですが政治的な妥協までは時間がかかりそうです。
北極海航路とガス田
ロシア政府は2024年末までに、北極海航路の輸送量を現状(2018年1月時点)の990万トンの8倍となる8,000万トンに引き上げる。目標の達成に向け政府予算と民間資金を活用し関連港湾の整備などを進める予定です。
この北極海航路は近年、流氷が地球温暖化の影響で溶けて通行が容易になってきてきたことで注目されています。
実用化できるとヨーロッパからアジアを通るルートは現在エジプトのスエズ運河経由で中東の紛争リスクがあるペルシャ湾を通っていますが、このルートをを短く、安全にすることができて、ロシアの港に大きな富が舞い込むことになるでしょう。
また、ロシアの半国営天然ガス企業であるガスプロムによると、北極海に面するヤマロ・ネネツ自治管区には、32カ所の天然ガス田があり、埋蔵量は35兆立方ヤード(約27兆立方メートル)と推定されていて、このガス田も氷で覆われていましたが、溶けてきたことで実用化が目指されています。
日本企業もガス田開発に投資しており、経済協力が進んでいます。
日本はエネルギーが欲しい、ロシアは資金と技術が欲しいわけで両者の利害は一致しています。
しかしながら、これらの経済協力を進めることの障害となってしまうのが北方領土問題。
日本としても領土問題を抱える国にエネルギーと物流を依存するわけにはいきませんから、両国が領土問題を解消できないのはお互い損失になっています。
2020年のアメリカ大統領選挙で風向きが変わらなければ、北方領土問題は動く可能性がありますね。
ネットの声
安倍さんの成果無い外遊。
北方領土問題、ロシアに振り回されるだけ、成果無。
北方2島返還と露と平和条約、プーチンに上手く乗せられた安倍首相です。いとも簡単に首脳会談の場で騙されるとは政治家としてより素養の問題なのかもしれません。
温暖化がもたらすロシアへのプレゼントの2番目は、北極海の氷が解け北極海航路が開けることだ。ヨーロッパと東アジア間の北極経由での物流が増大すれば、ロシアは世界一の能力を有する原子力砕氷船を駆使して各国の船団を誘導することで大きな利益を得られる。
「ヤマルLNG」日本向け出荷
LNGをヤマル半島サベッタ港から、耐氷能力を持つLNG輸送船によって、カムチャツカの貯蔵施設に搬入
その後、通常のLNG船に積み替え→アジア諸国に輸出する計画
思いっきり北方四島ルートですよね三井商船ヤマルLNG輸送