北広島ボールパーク(エスコンフィールド)開業もアクセス問題勃発。解決が無理な理由

3月30日に本格開業したプロ野球北海道日本ハムの「北海道ボールパークFビレッジ」(BP、北広島市)にはオープン戦初日と比べ、約3倍の3万1千人が来場した。試合終了後、JR各駅に向かうシャトルバス乗り場には長蛇の列ができ、周辺道路も帰宅するファンの車で一時渋滞するなどアクセス面の課題が見えた。大きなトラブルはなかったが、深夜に自宅にたどり着いたファンからは改善を求める声も聞かれた。

建設費600億円かけて作った大規模施設で、内部の評価は概ね好評の北広島ボールパークですがアクセス問題が大きな問題としてのしかかります。

札幌市白石区の会社経営、伊藤隆人さん(63)は「駐車場から出るのに1時間かかり、家に着いたのは11時半ごろ。球場には魅力が詰まっているだけに、アクセスさえ改善されればなおよくなる」と話しました。

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北広島ボールパークのアクセスが問題となる理由

北広島市周辺自治体からは旧本拠地の札幌ドームから近くなり、新千歳空港からも近くなるため道外からのアクセスはむしろ良くなるわけですが、新球場を巡るアクセス問題がすこぶる評判が悪いのは札幌市特有の事情によるものです。

北広島ボールパークの客層の多くが札幌市民です。札幌市は200万人。前の本拠地でもあるので当然札幌からのアクセスが最重要課題。

札幌市は

・札幌市営地下鉄がメインの公共交通機関でJR利用者の割合は少ない

・面積が広い

という特殊事情があります。

札幌市から北広島市への交通手段はJRが基本となるので、多くの札幌市民は地下鉄からJRへの乗り換えが必要となり、所要時間と交通費を考えると頻繁に行くことは難しい立地になってしまいます。

しかし、札幌市民が行きにくくても北広島市民が行けばいいという考えもあります。

例えば同じく大都市郊外の野球場としては西宮市の阪神タイガースの本拠地甲子園球場が挙げられます。

西宮市は神戸や大阪という関西大都市圏は人口1000万人超え、西宮市も50万人の人口が居たうえで親会社が鉄道会社なのでアクセス面は全面的なサポートを受けられる環境にあります。

対して

北広島市は5万人しかいないうえに、周辺の人口は札幌200万人に一極集中。

北広島市も3エリアに人口が分散しており、札幌のベットタウンとして発展してきた地域では札幌に近いエリア住民からは札幌ドームの方が行きやすく、北広島駅周辺地域以外の住民は北広島市民であっても車以外ではなかなか行くことが難しいです。徒歩で行くことが可能な地域住民は2~3万人程度でしょう。

平日ナイトゲームに仕事、学校終わりに気軽に通えるような場所に住んでいる人が少ないため、エスコンフィールドは平日の集客は苦労することは目に見えています。

土日のデーゲームは札幌や道外から一度真新しい球場を見てみたいファンがしばらく訪れるでしょうが、時間の問題で飽きられるでしょう。

もう一つ比較例を出すと

広島カープの本拠地マツダスタジアムは建設費80億円でJR広島駅から徒歩10分という抜群のアクセスです。

エスコンフィールドは建設費600億円で札幌から最悪のアクセス。もちろん球場施設にはホテルやサウナもあって付加価値がついていますが建設費の返済は困難を極めるでしょう。

野球場としての機能とコストパフォーマンスという意味ではマツダスタジアムと比較すると、エスコンフィールド成功のハードルは相当高いことが分かりますね。

開幕戦のように満員になると帰宅が難しい問題に直面し、動員数が落ちるとアクセス問題は緩和されても建設費600億円の回収が難しくなります。

野球場の場合は平日に試合があるので、気軽に立ち寄れるアクセスであることが重要となります。

https://twitter.com/LilyDorry/status/1643248778789675008?s=20

ネットの声

だから、何度も「JR札幌駅から北広島駅までの鉄道の所要時間だけを考えても集客できない。JR札幌駅から先の札幌市内各地からのアクセスを考えないとダメ」と言い続けてきたワケで。

北広島日ハム球団ボールパークは、「天下のプロ野球NPB球団が郊外のアクセスに難のあるスタジアムでやっていけるのか」という体を張った壮大な社会実験でもある。

北海道北広島日ハム球団ボールパーク、ご祝儀来場が落ち着きアクセス問題でふるいがかけられたら駅やバスの混雑は落ち着くと思う。 ただ、その落ち着いた集客レベルでその先やっていけるかは別の話。

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