地方創生は生産者都合にならぬように注意すべき。求められる地方創生のあり方とは?
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地方創生という言葉がよく聞かれるようになってきています。

ですが、地方創生が近年生産者目線で進みすぎているという声を聞きます。
今回は、その実態に迫ります。

Contents

地元を盛り上げようと取り組んでいること・不適切な部分

地元を元気にしたい。その思いで数多くの特産品が考案されています。

 

地元でよく取れる農産物を活用したオリジナリティある商品、ほかにはない強み。

それを売り出して、地元を盛り上げようとする動きが至るところで行われているようです。

 

ただ、近年この特産品において、クビをかしげたくなるような事態が出てきています。

 

たとえば、特産品の開発で有名な長野県の場合を挙げます。

信州味噌、そばの他、有名な特産品を数多く出してきました。

 

しかし、最近登場した商品の中には、雑穀で作った味噌、ジビエを使ったシリアル、スイカで香りをつけた焼酎など、「独創的な」商品がありました。

 

ただ独創的で美味しそうならよいのですが、正直掛け合わせ的に微妙だと感じる方が多い商品が並んでいるのではないか…と少々疑問に感じられます。

 

このような事態が生じる理由として、生産者の側の視点のみでの開発が進んでいることがあります。

 

 

さきほどの例で言うと、シカやイノシシを活用して鳥獣害を減らしたい、雑穀の栽培は手間がかからないので有効活用して遊休農家を増やす取り組みにつなげたい、地元のスイカの美味しさを知って欲しい、などが生産者側の視点でしょう。

 

このような視点は否定されるべきものではありません。

いずれも農業的には重要課題で、解決には意義があります。

ただ、問題はその解決手法です。

 

 

ある意味、商品化として無理矢理感の否めない前述の取り組みでは、このような課題が解決されるほどの収益を上げることは難しいでしょう。

 

売れる商品開発は、決して楽ではないのです。

 

 

地方創生は非常に重要ですが、手順や手法の面でくびをかしげたくなる場面は他にもあります。

ひとつの例として、国から支給された補助金により加工施設を建設してから、その後何を作るのかを1から考え始めたという場合があります。

 

開発の内容を見ずに、ひとまず設備を整えるので、あとは自分たちで確実にこの地域で収益を出せ。

そのような形が想像できるのですが、本来売れる商品の企画案ができてから、見込みのありそうな事業に補助金を投入すべきです。

 

 

生産者の目線に寄り添いすぎても、結果的に自己満足になり地方は創生しないと考えられます。

このような問題への認識は広がり、長野市にある長野県工業技術総合センターの食品技術部門では、企業に加えて商品開発に悩んでいる農家にも手をさしのべます。

 

生産、加工、販売、一連の流れを組み込む6次産業化を支援しているのです。

 

センターの位置づけは、これまで企業が出してきた商品を分析して評価する事後評価方式でした。

しかし、特産品開発に向けた実験施設を設けたり、乾燥させる機械や真空パックを可能にする機械などを導入して、商品の試作がしやすくなる体制を作り上げました。

 

 

事後評価だけでなく、商品化される前の案の段階に介入できるようにすることで、売れないであろう商品の開発を断念してもらったり、売れない商品を未然に防ぐ役割を持たせることが可能になったのです。

地方創生に求められるのは商品開発力だけでなく販売力も必要

地方創生にて課題となっている点として、ほかには販売力の低さがあります。

 

どんなに優れた商品が出ても、どのように商品を売っていくかで苦戦する場合も多いのが現状です。

パッケージのデザインや販路を見つけることが、代表的な工夫の一種です。

 

多くの場合、地元のスーパーなどで売るという生産者の意見があるのですが、安く旨くが求められるスーパーマーケットにおいては、高付加価値で高級な特産品は売れにくいことが多いといいます。

 

 

そこで考えられるのが、都会の専門店や百貨店で販売することです。

ただ、いきなり一生産者が商品を売り込むのには段階を踏むことが必要です。

仲介者がいてくれることが必要です。

 

前述の長野県の場合、その場合の窓口になるのがアンテナショップ「銀座NAGANO」です。

 

銀座に出店する長野県産の特産品を扱うアンテナショップなのですが、ここでは生産者と消費者の交流も行われています。

 

 

銀座NAGANOに商品を出すためには、提案シートを提出する必要があります。

 

類似商品との相違点や商品に関するストーリーなども記入できます。提案書をもとに審査がされ、審査を通過した商品だけが晴れて店に置かれることになります。

 

アンテナショップへの出店は、専門店や百貨店による担当者により商品が評価されるよい機会になり得ます。

 

 

そのほか、都会の消費者の声により実現した取り組みは商品を軽くすることがあります。

車暮らしで一度に大量を買い込む地方との違いを見落として販売していたケースが、消費者の声により改善されたのです。

ネットでの反応

 

地方創生に関する関心は高く、それぞれの地域での魅力を満喫する声も聞かれます。

本記事での問題はそれほど大注目を浴びているわけではないと思われますが、水面下では膨大な地方の努力と工夫があることを知っておいて損はないでしょう。

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