イギリスEU離脱がこじれる理由と本当の狙い
総選挙で強硬なEU離脱派が躍進していて、イギリスのEU離脱は合意なき離脱が濃厚となっています。
なぜ合意なき離脱にこだわるのかを歴史をひも解いて考えていきます。
ウエストファリア条約
ウエストファリア条約は条約締結国は相互の領土を尊重し内政への干渉を控えることを約し、新たなヨーロッパの秩序が形成され、この秩序を「ヴェストファーレン体制」ともいいます。
ウェストファリア条約は、一六一八年から続いた「三十年戦争」を終結させるために締結されたものであり、十七世紀前半、ドイツは神聖ローマ帝国の一部でフランスのカトリックとドイツのプロテスタントの深刻な対立を引き起こすしました。
キリスト教を信じることには変わりがないにもかかわらず、30年も続いていた戦争を終わらせたのは、平和主義とヨーロッパの連帯という素晴らしい理念によるものでした。
ウエストファリア条約は現在のEUと似ている点が多いです。
1、ドイツの譲歩
2、ドイツ、フランスの協調
3、ヨーロッパの平定
という意味で同じであり、ヨーロッパに平和をもたらした功績があります。
そのため、EUの今後はウエストファリア体制がどうなったかという歴史を参照すればある程度予想できます。
ウエストファリア体制の終焉は、ドイツがドイツを中心としたヨーロッパの同盟関係を主導して、イギリスを間接的に同盟に引き込み、ロシアも当面繋ぎとめておくという「ビスマルク体制」によって維持されましたが、ドイツは次第に放漫になり、ヨーロッパはドイツ帝国であるかのような姿勢を取るため、ヨーロッパ各地で反発が起こり、フランスで革命がおこり、ナポレオンが戦争を仕掛けたことでヨーロッパは無茶苦茶となり、二つの世界大戦に突入しました。
30年戦争からのウエストファリア体制と世界大戦後のEUという流れは似ていますから、EU崩壊の後には悲惨な戦争が起きるかもしれません。
なぜ、ヨーロッパがこのような歴史を繰り返すかというと、ヨーロッパの中で島国のイギリスはヨーロッパ諸国が揉めて弱体化、対立したほうが都合が良く、ヨーロッパ諸国に火種をまき散らします。
ドイツはヨーロッパの中で地理的に中心であり、周辺国が対立して軍事力を持つと都合が悪いのでヨーロッパをまとめようとしますが、たまにやりすぎて逆に反発に遭います。
英首都ロンドンの国会議事堂前で10月30日、英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐって反対派と容認派がデモを行った。https://t.co/WugcVD0Hhh pic.twitter.com/8IUlgMjsD0
— AFPBB News (@afpbbcom) November 1, 2019
イギリスは合意なき離脱を選択する
2年以上前にEU離脱を決定したイギリスはいまだに離脱していませんが、現在問題になっているのは残留か離脱かではありません。
EUと合意なき離脱か合意して離脱するかという議論が紛糾しているのです。
どちらにとってもイギリスはEUを離脱するわけですから、EUと合意したうえで離脱するのが筋だと思いますが、上記の通り、イギリスはヨーロッパ諸国に火種を与えることが大好き。
ヨーロッパを混乱させてドイツ、フランスとのパワーバランスで有利に立ち、揉めた国に物資を与えて、高利子でお金を貸して儲けることが出来るからですね。
イギリスが合意なき離脱にこだわるのは、イギリスがEU離脱を選択したあとのEU諸国が合意なく簡単に離脱出来るようになるからです。
EUを離脱したらユーロが使えなくなる?なんて不安はありません。
ドルの裏付けがあるポンドと連携しましょうとヨーロッパ諸国をEU離脱に誘うことでドイツからヨーロッパの金融覇権を取り戻すことができます。
現在、イタリア、スペイン、ポーランドがEU離脱に近いとされていますが、フランスまでEU離脱の動きが出てくるとヨーロッパはいよいよ大混乱に陥ります。
また、アメリカ軍がシリアから撤退したことで360万人のシリア難民がヨーロッパに押し寄せる可能性もあり、移民の受け入れで各国が揉めることは間違いありませんが、イギリスは島国で難民、移民問題はEUに押し付けることが出来ます。
また、ドイツは脱原発に成功していますが、フランスの原発から電力を大量に買っています。
一方で、イタリア、オーストリアに電力をドイツは売っています。
イギリスは北海油田があり、エネルギーには困っていないですし、ロシアはさらにエネルギーが余っています。
イタリア、オーストリアにロシア、イギリスが電力を売るならイタリア、オーストリアはドイツに依存する必要は無くなり、EU離脱へ拍車がかかり、フランスはドイツのために建設した原発が余ることになります。
このようにイギリスのEU離脱によって、ドミノ式に現在のシステムが不安定になっていくわけです。
これまでEUの金銭負担が2番目に多かったイギリスが抜けたあとのEUが維持できるかどうか注目したいですね。
英国のEU離脱問題、今はEUが「どの程度の延期」を承認するのかを検討中です。25日に最終決定の見通し。延期を承認しないということはなさそうですが一応チャートには掲載。短期延長が一番早く解決する可能性がありますが、うまく行かなかったときにまた離脱延期交渉になるのが嫌過ぎるという諸刃の剣。 pic.twitter.com/V7bvURgsNe
— 石川久美子 (@KumiIshikawa_FX) October 24, 2019
ネットの声
ファラージによる合意なき離脱が見えてきた。
EU離脱するならサッサとして欲しい。
でも、英国がEU離脱しようとして、EU自体もなンかまとまりが悪くなりそうになっているのも、シリア脱出の移民が精神的に信用できないからですよ。それでどこの国も受け入れを嫌がっているし。
それでも、お構いなしにイスラム圏の子どもは増えている。日本韓国欧州の子どもは減る傾向にあるのに。
トランプ米大統領は、ジョンソン英首相がEUと取り決めた離脱合意の下では、離脱後に米国と通商協定を締結することが難しいとの認識を明らかにしました
米国との通商協定はBrexitの目玉のひとつなので、厳しいですね
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