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ウクライナ放置。世界の警察を辞めるアメリカの大戦略「オフショアバランシング」とは?

ウクライナ放置。世界の警察を辞めるアメリカの大戦略「オフショアバランシング」とは?

オバマ政権になって、米国の大戦略(grand strategy)は徐々に方向性が変わり、米国は、その安全保障政策の姿勢について、オバマ大統領は「米国はもはや世界の警察官ではない」と強調していたときから、現在まで一貫している。トランプ大統領はアメリカファーストを掲げて同盟国に軍事予算の増額を求めてアフガニスタン撤退を決めた。バイデン大統領もその方針に基づいていると考えると超大国アメリカがウクライナ戦争を傍観している理由も理解できるでしょう。

世界の警察から同盟国の警察へ アメリカの大戦略オフショアバランシングとは何か

アメリカがウクライナの戦争に介入しない理由はウクライナがNATOに入っておらず同盟国ではないことが大きい。同盟国でもない国に軍事侵攻することは侵略に近くやっていることはロシアと変わらないとみられても仕方がないのでウクライナ放置は当然です。アメリカはロシアがウクライナに戦争を仕掛ける情報を2か月前から正確に把握していましたが、バイデン大統領は介入しないと予防線を張りロシアを止める役割を水面下で中国にお願いしましたが、断られました。

ウクライナの一般人は隣国のポーランドに逃げているのはポーランドはNATOであり安全だからです。そのためウクライナはNATOに入りたいが、ロシアと国境を接するウクライナの加盟を認めると世界大戦の引き金を引きかねません。アメリカは世界を守る役割を放棄して同盟国だけを守る役割にシフトしているのです。

これらの戦略はオフショアバランシングと呼ばれます。

オフショアバランシングとは基本的には沖合から国際情勢を観察しつつ、のちに敵になりそうな勢力が現れたときには他国と協力して政治的・軍事的に介入し、その勢力の勢いを削ごうとする戦略のこと。

長年のライバルであるソ連を崩壊させた勢いに乗り、冷戦後に米国が行った大戦略は、オフショア・バランシングとは異なる常に介入主義的で、勢力均衡を維持するよりもさらに貪欲に他地域のコントロールや支配を試みるものだった。それにより米国は他地域に頻繁に戦争や軍事介入を行った。

軍事力・経済力で相手を圧倒しているはずの超大国である米国が、軍事介入を行ったものの、対テロ戦や対反乱戦でもがき苦しみ続けていることがオフショア・バランシング論の呼び水となった。冷戦後の積極的な介入により、グローバルなテロや紛争に対応した結果、米国の国家財政が悪化し、そして、米国民の厭戦ムードも高まっていった。そして同時期に中国が勃興し、将来的にはそのパワーが米国の地位を脅かすとの予測まで散見されるようになった。そうした中で米国では、他地域への介入に比較的慎重なオフショア・バランシング的戦略の採用が議論されるようになった。

米国の国際政治学者スティーヴン・ウォルトによると「この戦略でアメリカが自国のパワーを海外に展開するのは、国家の存続に関わる国益に直接的な脅威が迫った場合にのみ限定される」と述べている。この戦略が想定する重要な地域はヨーロッパ、アジアの工業国、ペルシャ湾岸地域としている。

つまりギリギリヨーロッパではないウクライナの有事は観察するのです。

オフショアバランシングの解釈は多様だが、共通している特徴は、

①許容できる好ましい勢力均衡の維持に焦点を当てる、

②脅威に対してはローカル・アクターに依存する、

③恒久的なコミットメントや海外のプレゼンスを縮小する

④東アジアを重視する、

⑤紛争にはできる限り海軍力と空軍力を利用し、大規模な陸軍を派遣することは極力避ける、

⑥イデオロギーを他国に押し付けない、

⑦中東ではイスラム過激派の反発を招かないようにする、

の7つです。

日本とアメリカは同盟国であり、長期的に中国の台頭に備えるために東アジアを重要視しておりアメリカにとっての日本とウクライナは立ち位置はかなり違うとはいえ、世界の警察を辞めると宣言して実際に辞めてしまったアメリカの戦略転換は世界に大きな影響を与えるでしょう。

ネットの声

米は欧州でもオフショアバランシングを推進したいのか。そのための捨て石がウクライナなのか。誰が火をつけた話なのかよく考えたい。

米に煽られて、いざ戦争が始まれば米のオフショアバランシングではしごを外され孤立、日本の国民もアフガンやウクライナの構図をしっかり頭に入れておくことだ、米に利用され自国民の国土や生命が破壊されるだけだ。