東大が海水を飲み水に変える手法を発明 水不足解消へ第一歩
東京大学の研究チームが、塩分は通さず水だけを高速で通す、極細チューブを開発した。こげつかないフライパンのように、フッ素で内側が覆われているのが特徴だ。海水を淡水化し、飲み水などに変える次世代の水処理技術に役立つ可能性がある。13日付の米科学誌サイエンスに発表しました。
世界的な水不足への希望
地球温暖化によって台風が増えて雨量が増えているのは東南アジアや日本、韓国くらいで世界中ではむしろ干ばつ化が深刻となり水不足となっています。そこで海水を飲み水に変えるというのは誰もが考えたことがあるでしょうが、これがなかなか難しい問題です。技術的に可能な装置はできていますが、コストの問題で水不足問題の解消には現状程遠いです。
今回の東大の発見はこれを将来可能にするかもしれません。
東大の相田卓三教授や伊藤喜光准教授らはまず、フッ素を含む有機化合物で、小さなリング状の分子を合成した。このリングをいくつも重ねることで、内側の穴の直径が0・9ナノメートル(ナノは10億分の1)という極細のチューブを作った。チューブは、内側がフッ素で密に覆われている。フッ素はマイナスの電気を帯びていて、同じようにマイナスの電気を帯びている海水中の塩分(塩化物イオン)と反発し合うため、塩分は通り抜けられない。そのためチューブを通した海水を淡水化できるという。人間の細胞には水だけを効率よく通すたんぱく質「アクアポリン」があるが、チューブはアクアポリンに比べて4500倍の速度で水を通すこともわかった。海水淡水化装置はすでに実用化されているが、量やコストの問題で一般的に普及するには至っていおらず水不足という地球的課題の解決策とは程遠いのが現状で装置の高効率化への応用が期待されます。相田教授は「世界の水資源のうち、人が使いやすい河川などにある淡水は全体の0・01%しかなく、ほとんどは海水だ。今回の発見で高効率な淡水化に貢献したい」と話ています。また、科学者ができる役割は0から1を作り出すことで1から100はこれから民間企業が担っていってほしいとのことでやはり実用化までは一筋縄ではいかないようです。
21世紀のもっとも貴重な資源は石油から水になるといわれていましたが、エネルギーの脱炭素化がここ10年でかなり進んできたことと地球温暖化で干ばつ化が深刻化する地域が増えたことで現実味を増しています。日本は資源がない国といわれてきましたが水資源は豊富な国で良かったですね。
東大等は従来の4500倍の速さで海水を淡水化する極細チューブを開発した。
チューブの内側に塗られたフッ素が塩と同じマイナスの帯電をしているため、塩だけがはじかれる。また、フッ素は水分子同士の結合を解き、サラサラの水を作る。この原理を活かせば、世界の飲み水問題解決に繋がる可能性がある。 pic.twitter.com/TaNKSRjS5C
— ひつじさん@明るいニュース (@hitsuji_bright) August 14, 2022
ネットの声
人類史上、大発明なのでは?
砂漠地帯だけじゃなくて、水質に悩む地域でもとても役に立つ技術だね。凄いや、日本の研究者。
海岸で膨大な海水を見るたびに、なんでただの塩水を蒸留して飲料水化できないのか不思議だった。 想像以上に難しい問題だったんだね。
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