ドイツがアルジェリアから天然ガス輸入のためのパイプライン建設へ。歴史的なエネルギー政策の大転換。

ドイツのエネルギー大手EnBWの天然ガス輸入販売子会社フェアブントネッツ・ガス(VNG)は、アルジェリアの国営石油・ガス会社ソナトラックからパイプライン経由で天然ガスの供給を受ける中期契約を結んだと発表した。ドイツがアルジェリアからパイプラインで天然ガスを輸入するのは、これが初めて。将来的には同国から水素も輸入する方針。  取引額や契約期間は、明らかにされていない。VNGのウルフ・ハイトミュラー最高経営責任者(CEO)は、「今回の契約はドイツとアルジェリアのエネルギー・パートナーシップを強化するもの」と説明。「長期的には、ソナトラックとの水素パートナーシップを確立し、アルジェリア産のグリーン水素を輸入することを目指す」としています。  ソナトラックのラシド・ハチチCEOは、「VNGとの画期的な契約を通じて、欧州とのエネルギー・パートナーシップを強化できることを喜ばしく思う」と述べました。  VNGはロシア産ガスの輸入で国内最大手だったが、現在はロシア産に替わるガスの調達に取り組んでいる。また、ドイツ政府は2030年には水素の国内需要の半分弱に当たる年間45~90テラワット時を輸入する必要があると見込んでいます。

ロシアのウクライナ侵攻がもたらした新資源国の台頭

世界のエネルギー産業において、かつて日陰の存在だった地域が活況を呈しており、その範囲はコンゴ沖からアゼルバイジャンにまで広がります。欧州がロシアに代わる新たな天然ガス供給源を探していることが背景にあり、世界のエネルギー勢力図を急速に塗り替える動きとなっています。

サハラ砂漠の奥深くにあるビルレバアでは、イタリアの石油・ガス大手ENI(エニ)とアルジェリアの国営エネルギー会社が数十本の井戸を掘削し、未開発だったガス田から数カ月で生産にこぎ着けています。

同様の動きが、ベネズエラやマレーシアでも起こっています。日本のようなエネルギー輸入国にとっては、エネルギー供給量が増加して価格が下がることは、大歓迎ですね。

欧州は2年連続で暖冬となり、24年7月末時点のガス貯蔵率は89%に達し、さらに価格が押し下げられるとの見通しです。現在はロシア産の天然ガスを迂回して実質輸入している欧州ですが、短期でエネルギー危機は乗り越えて、長期でロシアからのエネルギー調達先の変更も見通しが立っています。

ロシアは第2次世界対戦後に勝利したドイツを影響下に入れ、欧州の権益を持っていましたが、ウクライナの1部領土を奪うためだけに80年かけて維持してきた権益を手放してしまっています。

また、ドイツは1880年代に、ビスマルクの時代、列強のアフリカ分割に加わり、アフリカ進出に乗りだした。東アフリカでは、1886年、イギリス・フランスとともにザンジバルの分割に参加し、タンガニーカ(現タンザニア)を獲得したほか、ルワンダ、ブルンジ一帯に広がる地域に及ぶドイツ領東アフリカ植民地としたものの、第2次世界対戦で敗戦したこともあり、アフリカの権益を手放していました。

戦争が始まる前、ドイツはガス輸入の55%をロシアに頼っていました。今、ロシアからのパイプライン輸入はすべて止まっています。代わりにアフリカに接続されたのだ。東から南への大転換です。

ドイツが第一次世界大戦で敗戦し、アフリカ大陸の植民地を失ってから1世紀強。地政学の大変化であり、ロシアのウクライナ侵攻はドイツのアフリカ進出へのきっかけを作り、ロシアはエネルギー顧客を失いました。

ネットの声

脱ロシアが加速 ロシアは周辺国から孤立が加速 ロシアの代替を探すのに、大変な親イタリア国であるアルジェリアは、フル稼働(300億m3)して輸送することを約束 ドイツが史上初めてアフリカ大陸と連結。ガスのパイプラインで。脱ロシア、イタリア復権とEU水素回廊

Twitterでフォローしよう

pick up