
フランスワールドカップでは決勝トーナメント一回戦で敗れてしまい、かつての世界王者としてのプライドをズタズタにされた女子サッカーですがここへ来てプロリーグ化への動きが進んでいます。
果たしてうまくいくのでしょうか。
なでしこリーグプロ化は上手くいくのか?
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、なでしこリーグがプロ化することで調整に入っていることを明かし、「もう一段階上に行こうと思うと、プロ化というところを通らないといけないと思う。具体的に話しているのは事実。近いうちに結論を出したい」
とコメント。関係者によると早ければ5月の理事会で承認され、21年にもプロリーグとして開催するといいます。
プロスポーツは「入場料収入」、「スポンサーの確保」、「テレビ放映権の獲得」の3本柱で成立しています。
なでしこリーグの現状はというと
昨季、なでしこリーグ1部の観客動員は平均1414人。
平均2000~3000人のクラブが大半のBリーグやJ3でもプロとして成立していることを考えると、プロ化は不可能な数字ではありません。
現状でプロ契約を交わしている選手は、ごく一部の選手に限られ、代表選手を含めて多くがアマとして活動しています。
テレビ放映権は、スイスに本拠地を置くmycujooが2023年までなでしこリーグの放映権を持っていて、毎試合2試合がyoutubeでもライブ配信されていて、見逃し配信は全試合無料で見ることが出来ます。
放映権はわずかでしょうし、mycujoo自体が日本では知名度が無いことも裾野が広がらない問題ですね。
mycujooはスマホアプリでもpcでも世界80カ国の試合を無料で見ることが出来て、なでしこリーグももちろん無料で見ることが出来ます。(abematvみたいなイメージです)
このことを知っている人がほとんどいないというアピール不足にアマチュア感がありますね。
観客数、視聴者数が少ないとスポンサー収入も少なくなり、なでしこリーグに近年投資した企業は家電量販店のノジマぐらいで、大きな企業はあまり参加していません。
プロ化をアピールすれば、手を挙げる企業も増えるかもしれませんが、根本的には人気を高めることが必要です。
なでしこjapanがワールドカップで敗戦した後のなでしこjapan籾木選手はこのようにコメントしています。
Round 16で敗退。サッカーの実力はもちろん、女子サッカーへの投資、力の入れ方、注目度など、全てで日本は遅れてしまっていると感じました。
— Yuka Momiki / 籾木 結花 (@nicole_m09) June 26, 2019
自分たちで変えて行くしかありません。
皆さんの期待に応えられず、悔しい気持ちです。本当に応援ありがとうございました!#FIFAWWC #JPN #nadeshiko pic.twitter.com/bBlsBMJC8z
強烈な危機感を与えているヨーロッパ勢
フランス女子ワールドカップ2019ではベスト8のうちアメリカ以外の7チームがヨーロッパ勢。
強さの秘訣にはリーグ改革があります。
スペインではリーグ戦のアトレティコ・マドリー対バルセロナの首位決戦が6万739人を記録。
カップ戦のファイナルは史上初めて民放大手の「テレ5」で生中継され、平均165万5000人の視聴者と14.8%の視聴率を記録しています。
これは女子サッカーの話です。
スペイン女子トップリーグは2016年から冠スポンサーを務める電力公共企業『イベルドローラ』社、大手メディアグループ『メディアプロ』社らの投資を受けて資金力を増し、FCバルセロナは女子チームを本格的に強化し、レアルマドリードも女子チームを重い腰を上げて創設してその動きに続いています。
女子サッカーでクラシコが誕生するとさらに大きな盛り上がりとなるでしょう。
スペインの女子サッカー急成長の背景には、将来性を見込んだ大企業からの投資、メディアからの後押し、そして男子サッカーとの連携があります。
スペインではサッカー人気が大きいため、性別にかかわらず地元のチームを応援するわけですね。
また女子チームの存在は男子チームにとっても新たな客層にリーチできるチャンスでもあります。
スペインのクラブではこれまでは売れなかったような女性向け商品を開発して、グッズ収入が増えています。
男子サッカーの観客の男女比率は7、8割が男性であり、女性人気を取りこぼしてきたとも言えます。
その取りこぼしてきた女性人気を女子チームがうまく取り込んでいるといえるでしょう。
またサッカーというスポーツの最大の弱点は試合数が少ないこと。
ホームゲームは2週間に1回しか開催されません。
しかしながら、女子チームを持っていればその倍の試合数を得ることができるでしょう。
レアルマドリードが女子チームを創設したように、男子の人気のあるサッカーチームにとって女子チームを作るということはメリットしかありません。
しかしながら日本では jリーグとなでしこリーグの連携がうまくいっていません。
例えば北海道コンサドーレ札幌は女子チームを作りたがっていますが、ノルディーア北海道というアマチュアチームが昔から細々と女子サッカーチームを運営していて、 新しく札幌のチームを作ることに対して批判もあることから女子チームの創設に踏み切れていません。
同じような状況のチームは多いですが、なでしこリーグ1部のチームの10チームのうち7チームは jリーグのクラブが運営している女子チームです。
Jクラブはスポンサーの獲得や、サポーターの獲得のノウハウや人材を持っていて指導者の確保もしやすく、 育成年代の男子チームと練習試合を組めば国内では女子で経験できないレベルで強化することが出来ます。
また、男子のクラブを応援しているチームは、女子チームも同じく応援してくれることでしょう。
Jリーグクラブが持っている女子チームの方があらゆる面で有利であり、プロ化もしやすいですね。
というわけで、なでしこリーグのプロ化には jリーグとの連携が欠かせないことは明白で、 jリーグにとっても弱点である女性ファン層を獲得できるチャンスとして女子サッカーに投資するというのは理にかなっているでしょう。
また大きなメディアやスポンサーがリーグ全体を支援するという動きもなければプロリーグ化はうまくいきません。
そのため冠スポンサーの獲得や、大手メディアの協力が必須となってきます。
2021年にはプロ化するということなので、水面下では動きはあるのでしょうから今後の発表に期待したいですね。
ネットの声
選手の意識が変わらなければ無理だと思う
代表がバイトしてるのは信じられない。
というような反応がありました。
個人的には選手より、運営サイドの問題が大きいと思います。
また、カジノ合法化の先にオンラインベッティングがあり、サッカーが最もスポーツでは相性が良いことがJリーグとDAZNとの長期契約の裏にあります。
サッカーのオンラインベッティングを合法にするなら、八百長防止のため、男子と女子の運営システムを統一する必要もありますし、法律的に男子だけ認めるというわけにもいかないでしょう。
このあたりの動きも見どころかと思います。