
ジュビロ磐田の名波浩といえば現役時代からチームの象徴でクラブの黄金期を支えた名パサーでした。
監督としてもジュビロ磐田でしかやらないとオファーを待ち続けての就任でしたが、解任されてしまった理由に迫ります。
名波浩の辞任理由
1995年にジュビロ磐田に加入した名波浩氏は日本代表で10番を背負ったゲームメイカーで、1998年フランスワールドカップでは中田英寿とともに中盤に君臨。
1999年にはセリエAベネチアに移籍。
帰国後ジュビロ磐田を黄金期に導いたため
「ジュビロ磐田といえば名波浩」といっても過言ではないクラブのレジェンド!
よほどのことが無い限りは解任されない状況でした。
そして、今回名波浩監督がジュビロ磐田を辞任した理由はまさにこの部分で
解任されないから辞任したのです。
2014年にJ2に低迷するジュビロ磐田の監督に就任してから、2015年J1昇格、2017年J1で6位と結果を出してきましたが
2018年は16位、今シーズンは最下位に沈んでいました。
名波浩監督は昨シーズンで辞めるつもりでしたが、クラブ上層部は許しませんでした。
名波監督はそのときをこう振り返っています。
J1残留を決めて選手たちがピッチで喜びを分かち合っているとき、自分は(スタジアム内にある監督)部屋に戻って、服部(強化部長)と2人で話をしていたんだよね。そこで、すぐに自分は『お疲れ。(監督を)辞めるから』と。
そうしたら、服部は『ちょっと待て』と。そこから、自分に対する評価、自分は表向きには言ってこなかったんだけど、主力の多くがケガしたなかでここまでやってきたこと、勝ち点41を挙げたこととか、延々と評価してくれた。そのうえで、『辞めるな』と言ってくれたんだよね。
だけど、自分はそれでも『来年、このチームを好転させる自信がない。”自信がない名波浩”なんて、これっぽちも魅力がない』と言って、そこでもう涙を堪えきれなくなって……。服部も同様で、ふたりで大号泣して……」
「そうなんだよ。ふたりで大号泣しながら、服部は自分より年下なんだけど、『それでもいいから(監督)やれよ!』『おまえがやらなきゃ、誰がやるんだよ!』って言ってきて……。
それでも、自分は『自信がないから無理だ』って、『いいスタッフはいるから、勝てる監督を呼べよ』って言うと、そこでまた服部が『いいんだよ、ガタガタ言わずにやれよ!』『おまえが辞めるなら、オレも辞める』とまで言い出して。いつも冷静な服部も、あのときはさすがに感情的になっていたね。
そうやって、ふたりが言い合っていると、鍵をかけていたドアがガチャガチャと鳴る音がして、ドアを開けると、社長が立っていた。それで、号泣して言い合っている自分たちを見て、社長も泣き出して……。 で、しばらくすると、社長が自分に向かって、『4年間一緒に仕事をしてきて、おまえに命令したことはないけど、初めて命令する。おまえの親父とお袋に変わって言うからよく聞けよ』と言うと、ひと言『いいからやれ!』って叫んで、そのまま部屋を出ていった」
これは美談のようになっていますが、チームのレジェンド名波浩を辞めさせられないクラブの現状が垣間見えますね。
原辰徳さんが監督やってる巨人も似たような状況だと思いますが、日本のスポーツ監督人事は選手時代のレジェンドに依存して共倒れになりがち。
服部強化部長も選手時代の名波浩氏の後輩だからこそこのポストにいて、社長も名波浩が監督をやるからという理由で金を引っ張ってきています。
結局、名波監督はフロントに辞任を伝えても止められるので、最後はサポーターに直接辞任を伝えました。
後任監督に鈴木秀人コーチが内部昇格しましたが、サッカー王国静岡の外から監督を引っ張ってくることができない内弁慶ぶりが垣間見えますね。
鈴木秀人コーチが優秀だったら、名波監督時代に状況を好転させているはずなので、期待薄かなと思いますが
どうなるでしょうか。
ちなみにジュビロ磐田のチーム人件費は20億円といわれていて、J1では中位。
監督とフロントがまともなら残留して当然のチームです。
名波前監督と磐田コールリーダーの会話をスパサカが撮ってた pic.twitter.com/ZY0oAp4Afo
— しましまいまい@元こぶし組(3/31以降流浪) (@sh1mash1ma1ma1) June 30, 2019
名波浩監督は無能?
名波浩さんは、解説者としての実力は高く評価され、選手とのコミュニケーション能力も高かったため引退後はテレビでも人気となりました。
監督ライセンスの取得時の評価もトップだったようで
将来の日本代表監督として期待されていた名波さんでしたが、評価は暴落しました。
名波浩は無能という声も大きくなっています。
監督として成功できなかった理由は
・指導者として勉強する機会がなかった
・プライドが高く、王様体質
・自分ができるので、教えられない
ということが挙げられるかなと。
日本の監督人事の問題は選手時代に凄かった選手を指導者としての実績なしに監督に据えてしまうことで、このパターンは成功例がまったくありません。
レアルマドリードのジダン監督もBチームで長く経験を積んでから、トップチームを指揮しています。
名波監督はプライドが高く、自ら誰かの下に付いて学ぶというタイプでもないので、
ジュビロ磐田は将来監督にしたいなら、コーチやユースから始めさせるか海外留学させるかが必要でした。
名波監督を育てるということをしなかったために、失敗してしまったということですね。
素養は抜群だっただけに残念です。
また、選手時代に自分で攻撃の形をプレーで作ることが出来た名波さんは、選手に自分のようにプレーすることを要求して、名波浩のような天才パサーがいなくても勝てる戦術を構築できませんでした。
辞任会見で「楽しくサッカーがさせられなかった」とのコメントに垣間見えますが
サッカーは上手い奴が自由に楽しくやるものという選手時代のこだわりが強いが、指導者としてはそういうサッカーが出来ない。
結局、中村俊輔選手や大久保嘉人選手のようなベテランの天才タイプを獲得しましたが、運動量、稼働率が落ちた選手の加入でチームバランスが崩壊。
悪循環に陥ってしまいました。
名波浩さんは辞任しましたが、監督として現場に戻ってくることを望んでいるとコメントしているので
指導者としての勉強を積んで、参謀となるスタッフを見つけてから
ジュビロ磐田以外のチームで指揮を執るなら成功しそうですね。
名波浩さんは口が上手くカリスマ性もありモチベーターとしての能力は凄いですから
今後に期待です。
ネットの声
どんどん名波さんが神格化してるんだけど、やっぱりあれだな「名波さんを都合の良い神様にしないで」って事だったのかも。
今回の名波さんの辞任による喪失感の引きずりっぷりを味わって、今後はサッカーの監督でガチの推しを作るのはやめようと思う次第。辛過ぎる。クビになりやすい職業NO1をガチで推すなんてメンタルの自殺行為だ…
名波さんにも風間さんにも言えるが、第三者的目線から建設的な忠言ができるブレーンを入れない両クラブのフロントはほんと謎だな。