お金がないからって遺体放置は御法度!葬儀費用は心配いらない!
2019年10月、同居していた母親が亡くなったにもかかわらず、自宅の布団の上に放置し続けたという理由で、埼玉県に住む52歳の男性が逮捕されました。
自宅で家族が死亡した場合、同居する家族には埋葬の義務があります。
遺体を死亡時の状態のまま放置すると死体遺棄で罰せられるのです。
新聞の報道によれば、逮捕された男性は「葬儀する金がなかったから放置した」と供述しているそうです。
お金が無いから放置
葬儀に出すお金がないから放置…
こういった報道は10年くらい前から目立ち始めます。
最近では珍しいニュースではなくなったくらいです。
(o゚Д゚)エエッ!! 家族3人軽自動車で生活?マジかよ💦
車で生活の母娘 92歳母が死亡し58歳娘が遺体放置か(19/08/20)
92歳の母親とみられる女性の遺体を放置した疑いです 住所不定・無職の富宇加幸美容疑者 58は 軽自動車の後部座席に92歳の母親とみられる女性の遺体を放置した疑いが持たれています pic.twitter.com/BT6n1XCmps— 🇯🇵よろず屋 (@yorozya_1) August 20, 2019
しかし、こうした報道がなされるたび、ネットを中心に
「貧乏だと葬儀さえできないのか」
「葬儀屋が儲けすぎだから、事件が起きるんだ」
といった批判的な意見が飛び交います。
しかし、これらの意見の多くは誤った認識なのです。
葬儀費用は行政が負担してくれる
結論からいうと、お金がまったくない人でも葬儀を行えます。
というのも、日本にはお金がない人の代わりに、行政が葬儀費用を負担する「葬祭扶助」という制度があるからです。
生活保護を受けている人が亡くなった場合、生活保護法に基づいて行政が葬儀費用を負担します。
この場合、生前に面倒を見ていたケースワーカーが手続きを進めてくれるのです。
また、身寄りもお金もなく、さらに生活保護を受けていない人でも、葬祭扶助を申請してくれる友人や知人などがいれば、生活保護法に基づいて葬儀費用が支給されます。
申請する人がいない場合は、葬儀費用は地方自治体が負担する仕組みになっています。
亡くなった人の置かれた状況によって仕組みは異なりますが、支払い能力がないとさえ確認されれば、日本では最終的には行政が葬儀費用を負担してくれる仕組みになっているのです。
支払われる金額はエリアによって異なります。
東京23区の場合、最高額で20万9000円まで支給されます。
実際は葬祭扶助の認定まで日数がかかることもあるので、遺体を保全する費用が別途支払われることが多いようです。
とはいっても、この予算では場所を借りてお坊さんを呼んでお経をあげるというのは不可能です。
葬祭扶助は直葬といった通夜などの儀式などを行わず、納棺後にすぐ火葬する形式を前提にしています。
遺体放置が絶えない
日本では行政が葬儀費用を負担してくれるにもかかわらず、なぜ遺体放置が絶えないのでしょうか。
考えられるのは、遺体を放置していた人に別の意図がある場合です。
こうした事件の記事を読むと、
「生前から故人に暴行をふるっていた」
「故人の年金を不正に受給していた」
などと書かれているケースがあります。
お金がどうこうというのは苦し紛れのうそであり、不法行為の隠蔽が本当の目的といったことが多いようです。
また、事件の背景を探らず、
「葬儀をするお金がなかったから遺体放置」
といった見出しを多用するマスコミにも問題があるでしょう。
放置した人にも問題が
放置した人が精神疾患や認知症を患っているケースがあります。
生々しい話になりますが、専門的な処置を行わないと遺体はすぐに腐敗します。
何かしらの事情もなく、腐敗し続ける遺体と一緒に居続けるのは難しいでしょう。
昔は、ご近所付き合いというものがありました。
生活に困っている人を近所の住民たちが助け合う習慣がありました。
香典というのも本来そういった助け合いの気持ちから生まれたものです。
都市化が進んで、ご近所付き合いが崩壊した現在、何かしらの事情を持った人がサポートを受けられず孤立してしまうケースはよくあります。
そういった経緯が、このような悲劇を招いているのかもしれません。
「葬祭扶助」が崩壊する可能性も
現在の日本で「お金がなくて葬儀ができない」ということはありえません。
しかし近い将来、「葬祭扶助」が崩壊する可能性も指摘されています。
現在、日本の年間死亡人口は136万人です。
それが、2040年には170万人前後に達すると言われているのです。
葬祭扶助にかかる費用は死亡人口に比例して増えていくため、制度の見直しは避けられないでしょう。
地方自治体が葬祭扶助の最終的なセーフティーネットになっているのですが、実際には地方自治体の財政を圧迫しているのです。
実際の現場では民生委員(厚生労働大臣の委嘱を受けた社会福祉を担うボランティア)を葬祭扶助の申請者にすることで、生活保護法の適用に切り替え、自治体の一部負担を国に肩代わりさせることさえ行われているのです。
どうすれば国や自治体の負担を減らせるのか。
今後なんらかの改革をしないと葬祭扶助の崩壊が予想されます。
もしかすると、本当に「お金がないので親の遺体を捨てる」時代が来てしまうかもしれません。
ネットの反応
「親の死体を隠す人は、葬儀費用より親の受給する年金を優先していると思う。」
「あ、自分、葬儀いりません。とりあえず法にのっとて始末してくれたらそれでいいです。儀式儀礼に使う金など無駄の極致。」
「葬儀うんぬんよりなにをしていいかわからないのでは?もちろん年金目当ても理由ではあっても親戚に連絡することさえできない、8050問題のように社会から隔絶されてる人がこういうことになってるような気がするんですが…」
親の年金にたかっている無職の中年息子をなんとかする必要がありそうです。
それと、確かにどうしていいのかわからないまま放置…ということもあるのかもしれません。
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