地方留学が進む?地方の公立高校が注目される理由とは?
「地方留学」という言葉をご存じですか。
首都圏などから地方の公立高校に入学する現象をそう呼ぶそうです。
今、この地方留学が流行しつつあるそうです。その理由に迫ります。
地方留学とは?地方留学が流行りつつある理由とは?
都市から地方へ向かう若者の流れができはじめています。
地方の少子高齢化が進む中で、各地方自治体はどのように人口を増やすか、若者に来てもらうかを考えなくてはならない状況にあります。
そんな中、地方留学のブームの兆しは、多くの地方自治体にとってチャンスとも言えましょう。
地方の公立高校の生徒募集イベントに足を運ぶ中学生とその保護者の数が激増している中、急ピッチで現地は地域ぐるみで受け入れ体制を整え始めています。
東京一極集中からの転換を図らなくてはならないと感じていた中、このような取り組みは注目を浴びています。
松江市にある地方公立高校の県外募集を後押しする地域・教育魅力化プラットフォームでは、福岡、名古屋、大阪、東京で地方留学のイベントを開催。
出展した高校数は2019年には55校と、前年度を21校上回る結果となりました。
来場者数も1173人→2093人へと2倍近くになりました。関心の高さが伺えますね。
訪れた保護者の方は、「都会よりも少人数で大切にしてくれそう」「都会で似た育ちの子と会うより、様々な方がいる環境で価値観を広げて欲しい」などそれぞれの関心の理由があり、地方の高校ならではの強みへの注目があるようでした。
保護者だけでなく、学生自らが地方の高校に行きたいと希望するケースもあります。
理由は、「地域とふれあう機会が多い」ことでした。
大学入試を考えると、進学率の面で地方の高校は不安な面があるケースも散見されますが、地方の公立高校の中にも学習面でのサポートが充実している学校も増えてきています。
地方留学のきっかけとは?
流行になりつつある地方留学ですが、きっかけとなったと考えられているのが、島根県内の隠岐島前高校での県外募集でした。
地方創生が叫ばれる中、若い人に街に来て欲しいとの思いでしょうか、町おこしの一つの側面として実施されました。
その動きは島根県中の公立高校に広がります。気がついてみれば、全国に波及していたということです。
愛媛県の上浮穴高校の森林環境科も、県外募集に力を入れ始めた高校の一つです。
林環境科では毎年10人の県外生徒を募集する方針を打ち出しています。
地元が補助金を出すなど、地域ぐるみでの若者の呼び込みが始まっています。県外募集でも、各地方での学生の奪い合いが開始されていると言えるかもしれません。
前述した島根県の隠岐島前高校では、高校での交換留学ができることも売りにしています。
シンガポールやブータンの他、国内の首都圏高校への交換留学ができる制度を導入し、売りにしたい姿勢を見せています。
留学生の受け入れを検討している地方公立高校もあります。
都市から地方へ、そして地方が世界にもつながっている…。
可能性が双方向、多方向へと広がっている高校を作りたい考えを打ち出しています。
富山、三重、岐阜あたりの公立トップ高は東京、愛知、大阪のトップ高ほど入試の難易度は高くないが大学合格実績は互角以上のところが多い。高校レベルでの地方留学は現実的な手段かもしれない。
— にゃんきち (@ixige) July 2, 2010
地方公立高校への関心は高まりつつあります。
学校側としても希望者の多さが予想を超えて嬉しい悲鳴を上げている状況にあります。
地方の公立高校の変革が求められる中で、受け入れ人数、寮の運営方針、地方留学への費用をどれほど捻出するかなど、考えるべき課題も多いです。
親の関心も当然ありますが、実はどちらかというと学生の側の関心の方が高い傾向があります。
中学に入学したての1年生でさえ、すでに地方留学に関心を持つ方もいるというのですから、驚きです。
背景には、都会の公立学校の負の側面を実感していることがあります。
学生の側からすると、都会の公立高校は窮屈な場所だと感じる方がいるようです。
また、純粋に学校に居場所がない、地元の公立高校に中学の延長で進学したところで現実は見えている、などの現実的な見方があります。
より活き活きして、わくわくできる環境。
新しい環境で、自分のことをよりじっくり見てくれるアットホームな環境で、のびのび過ごしてみたい。
そのような思いを持つ学生の増加が、地方留学の結実につながっているようです。
かつて、1990年代にも、都会から地方への流れができたことがあります。バブル崩壊を機会に地域に戻るUターン、Iターンという言葉が流行したのがこの時期です。
親の側としても、自身の子供が都会に暮らし続ける事が好ましいことなのかという意識が存在していたことも事実です。
なお、地方の中でもまだまだ地域により人気が偏っているのが実態だそうです。どうしても、北海道や離れ島などに人気が集中しているようです。
本土にある地方の高校は、この傾向に少し危機感を覚えているようです。
公立高校は一定水準以上の教育をどこでも行いますが、人口減少の時代、遠からず廃校に追い込まれる学校も出てくることが危惧されます。
そんな時代に生き残るには、その地域ならではの良さ、その学校ならではの良さを出して、学生に来てもらえる高校にすることです。
各校はその認識の元、地域主体で取り組んでいます。
ネットでの反応
ネット上では、地方留学に対して新鮮であるという声が聞かれました。
人間的な成長を感じられたとする声も上がっており、生徒の側としても、受け入れ先の高校としても望ましい選択ではないか、との意見もあります。
いずれにせよ、関心が高まっていることはネット上の反応からも察することができました。
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