プーチンが心酔するロシアの学者が提唱するネオ・ユーラシア主義とは何か?
プーチンが心酔して現在のロシアの国家戦略のブレーンとされているドゥーギンは自由民主主義、資本主義、個人主義、グローバリゼーションなど西側諸国のリベラルな価値や理念を強く批判・攻撃し、20世紀に衰退してしまった共産主義とファシズムに代わって21世紀に標準化した自由主義に代わる第四の政治的理論としてネオ・ユーラシア主義を主張している。
ロシアのブレーンによる国家戦略
プーチンが心酔するドゥーギンの主張はネオ・ユーラシア主義というもの。ドゥーギンはリベラルな秩序や商業文化の破壊を唱え、むしろ、国家統制型経済や宗教を基盤とする世界観を前提とする伝統的な価値を標榜している。ユーラシア国家(ロシア)は、すべての旧ソビエト諸国、社会主義圏を統合するだけでなく、EU加盟国のすべてを保護国にする必要があると彼は考えている。プーチンの保守路線を社会的に擁護し、政策を理論的に支えるドゥーギンの新ユーラシア主義思想は、いまやロシアの主要なイデオロギーとして位置づけられつつある。
ロシアはヨーロッパでもアジアでもないユーラシア大陸となり民主主義というアメリカ中心主義をユーラシア大陸から排除してそれぞれの文化的背景にあった多様な価値観の共存が成立するというもの。
そのためには
・ヨーロッパの中立化(脱アメリカ、脱イギリス)
・中国と協力しつつ南下させてフィリピンやオーストラリアなど米国の同盟国と対峙させ内部崩壊を招きロシアからの中国の脅威を取り除く
・日米同盟の解体
が必要とのことです。
ドゥーギンはユーラシア帝国をつくるためにもロシアは領土問題を避けるべきという理由で領土問題を抱えるドイツにロシアの飛び地であるカリーニングラードを返還してエネルギーを依存させて新ロシア化する。(メルケループーチンの友好関係がここに表れています)
日本にも千島列島を譲渡してエネルギーを依存させて新ロシア化するべきと主張しています。(安倍ープーチンの友好関係がここに表れています)
これらの政策の戦略はすべてアメリカを中心とした西側陣営の解体と多極化体制への移行、ソ連の復活という言葉でまとめられます。
しかし、ウクライナ侵攻で起きた結果は西側陣営の結束と中国との乖離、日米同盟の強化とロシアへの資源依存の世界的な見直しでした。
ロシアの国家戦略とまったく真逆のことが起きているわけですね。
独裁国家の権力は必ず腐敗して権力者に都合の良い情報しか入らなくなるために正しい判断が下せなくなることと、軍事的手段に対する世界的は反発を甘く見たことが失敗の理由ですね。
そもそもロシアという国が世界の新しい秩序を作り変えるという考え方自体が自分の立場をよくわかっていない気もします。
日本と人口は同程度で経済規模は3分の1しかないロシアが世界戦略なんか考えるから大きな失敗を犯すわけです。ロシアの失敗を糧に日本のような規模の国は世界覇権など考えずに作られたルールの中でうまく立ち回ることを考えた方が得策だと思います。
今回のウクライナ侵攻でいろいろ調べる中、プーチンの思想に影響与えてるとされるドゥーギンに興味持った人もいると思いますが、こちらの黒岩幸子さんのドゥーギン地政学の大著の論評、たいへん役に立ちます。こういう研究者がいて、論文をPDFで読めるのはありがたいです。https://t.co/zhbthFNZMS
— 香山リカ (@rkayama) March 17, 2022
ネットの声
戦争を支持した人たちまで驚きの声が上がっている。プロパガンダの人からではなく、ドゥーギンのように真剣に戦争を支持した人だ。彼らも、この戦争は何かおかしいと気づき始めているのではない
かつてアレクサンドル・ドゥーギン氏が唱えたロシア、ドイツ、イラン、日本による大ユーラシア枢軸構想やネオ・ユーラシア主義の更なる亜種は、結局のところあまりロシア市民に浸透してなかったなってとこ
ロシアはアメリカ並みの力を持つオルタナティブ帝国になる力を持っているのだ!みたいなことをドゥーギンをいう。要するにロシアって自らが非難するところのアメリカの帝国的振る舞いが羨ましくて仕方ないのでは?という
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